2018年  マウイ島 滞在日記 4

 ★四日目  (8月19日・日曜日)

 

⒔ 海亀

         



朝、孫が、目の前の海で亀が泳いでいるとカメラを持って出て行った。私も急いで庭に出てプールのわきから崖下の海を見て、亀はどこだと探した。海面に顔を出していないので、岩もあり、甲羅の色とよく似ているので、最初はなかなか見つけられなかったが、それらしきものを見つけて、ビデオを撮った。水面より少し下を泳いでいて、波の具合で時々甲羅が見える。大きな海亀が、眼下を泳いでいるなんて、やはり感動ものだった。

             


朝食のあと、父親は、マウイで三番目にきれいな海に泳ぎに行こうと孫を誘って出かけて行った。三番目にきれいって、おかしい言い方だなって私は思ったけれど、きっとマウイ島のガイドブックにそう書いてあったのだろう。その三番目にきれいな海はどこなのか、蚊帳の外の私は分からない。二人は帰って来て、きれいな魚と一緒に泳いだと感動している。

彼等のいない間、私は、歩いて三分の「FARMS」という店に買い物に行った。その店は「オーガニック」が売り物らしい。それはいいのだけど、そこは肉と魚は一切売ってなく、卵もなく、生ものは果物と野菜だけ。その店でサンドイッチとコーヒーでもとって、昼食を済ませてもよかったのだが、ふと、日本から持ってきたインスタント焼きそばを思い出し、それで昼ご飯を済まそうと思った。ところが、普段、インスタントの焼きそばは食べていなかったので、全くはずした銘柄を買ってきたらしい。空腹を満たすだけといっても、その空腹さえ満たされた気にならないような、まずい代物だった。

午後二時からは、孫たちはハレアカラ山という火山の頂上から、沈みゆく太陽や夜空の星を見に行くツアーに出かけて行った。三千メートル級と聞いて、二人は、日本からダウンジャケットを持って来ていた。私はというと、三千メートルという高さで、富士山を想像し、高山病になるのではないかと思い、参加しないことにしていた。後で聞いてみると、山頂まで観光バスで行くし、苦しいと感じたりはしなかったということだ。孫は、星よりも、雲海に感動したと言って帰って来た。

 

★五日目 (8月20日・月曜日)

 

⒕ iPhone

又もや今日もどこかの海に泳ぎに行こうと、父親は孫に言った。二人が泳ぎに行く時は、向こうで着替えるのが面倒ならしく、家から水着を着て車に乗って出かけていく。

家の前にプールがあって、朝は十時頃から夜は九時まで、入れ代わり立ち代りコンドミニアムに泊っている人たちが泳いでいる。プールサイドの寝椅子で海を見ながら優雅に寝そべっている人もいる。そのそばの階段を下りていけば小さいけれど砂浜があり、海で泳げる。けれど、そんなものでは飽き足らないらしい。

私はというと、一人になると、皆のものをコインランドリーで洗濯したり、「FARMS」の隣のコーヒーショップでアイスコーヒーをテイクアウトして来たり、リビングから、海を眺めたりしている。

          




運転できないと、マウイ島ではどうしようもない。タクシーを頼めばいいのだが、コンドミニアムの事務所で、個人タクシーの名刺ももらったのだが、英語が全然頭から出て来ない。行きはよいよい帰りは怖いの文句通り、帰りのタクシーをどこで呼べばいいのか、などを考えると、一人で出かける勇気がない。人は英語ができなくても、身振り手振りで何でも通じるというけれど、私は小心者なので心配が先に立ち出かけられなかった。

マウイ島に来て泳がないなんて、実にナンセンスだということが分かったのは、日本に帰ってからで、日本を出る時から泳ぐということは全然頭になかった。実は私は金槌で、顔を水中につけられない。スポーツ全般不得手で、登山、水泳、テニス、等々、何もしたことがなかった。人生の楽しみの半分を失っているのだと思えてくる。

             


海を眺めていると、真っ黄色で細長くてスリムなボートが水平線の近くを軽快に航海している。碧い海に浮かぶ黄色いボート。その色のコントラストが何とも言えず美しい。いつも船は左手から右手へと航海していった。

その時、父子二人が帰って来た。孫が「iPhoneが死んだ」と言って、ぐちゃぐちゃiPhoneをいじっている。

事情を聞いてみると、家からはいて行った海水パンツのポケットにiPhoneを入れていたのを忘れて、二時間も海で泳いでいたそうだ。海亀と一緒に泳いでいて楽しかったらしい。気が付けば二時間も経っていたらしい。ドライヤーで携帯を乾かしたり、ゼムピンを伸ばしてシムというのを取り出したりしてみたが、もう何の反応もせず駄目になってしまっていた。

「携帯がなかったら、日本に帰る」とか孫は言い出す。

 携帯依存症だ。

私は、H.I.Sのマウイ事務所に電話をかけて、携帯を新しく購入できる所はないかと尋ねてみた。事務所の人が、あちこち聞いてくれたけれど、マウイにそんな店はないということだった。

孫は母親に電話をかけ、母親が代わりの携帯をドコモで作って持ってくることになった。母親は勤めの都合で、後からマウイに来ることになっていたので、丁度よかった。

 

★六日目 (8月21日・火曜日)

 

⒖ モロキニ島

今日は朝六時に起きて、二人はモロキニ島という無人島に、シュノーケリング・ツアーに出かけて行った。

私は、「FARMS」の駐車場で、朝市があったので、見に行った。小規模な朝市だった。スターフルーツとドラゴンフルーツが珍しかったので買った。他に、お土産にいいと思って、コナコーヒーを数袋買った。そこで朝市のお兄さんに何か一言でも喋れれば嬉しかったのだが、英語が口から出ない。黙って品物を取って持って行き、お金を払ってお釣りをもらったきりだ。せっかく外国に来ているのに、人とふれあえないのは残念だ。

           


午後二人が帰って来て話をしているのを聞くと、水がものすごく透明で、あんなきれいな海は見たことがないと言っている。色とりどりの魚が泳いでいて、ものすごく大きな海亀とも一緒に泳いだらしい。一緒に泳いでも、海亀を触ってはいけない、海亀保護のために禁止されていると言われたらしい。孫は「GoPro」というカメラで、水中を撮ったらしい。

           



父親は、また、夕方になるとラハイナのホテルのレストランで美味しいところがあるから食べに行こうと言った。いつも孫より父親の方が元気だ。私もついて行った。ラハイナの商店街の「ラハイナ・グリル」というレストランがそれだった。さすがにホテルのレストランだけあって、西洋風に整っていた。食事もおいしかった。アルコールを飲まないので、三人で百七十ドルだった。

食後、この間と同じように、商店を覗きながらラハイナの町をぶらぶらした。

 


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