2018年 マウイ島 滞在日記 2

★1日目(後半) (8月16日)

 7 カフルイ空港からハレカイへ

一便遅れて三人揃い、他の観光客と乗り合わせてマイクロバスでコンドミニアムに向かった。

最初マイクロバスは街を走っていたが、ちょっと行くと人家の全くない、黄色い土がむき出しの丘の裾を長々と走った。道路だけは舗装され整備されている。だが行きかう車は少ない。そんな所をどんどん走っていくうちに、私はどんな奥地へ連れていかれるのかと不安になって来た。

何故娘はこんな僻地みたいな所のコンドミニアムを選んでくれたのかと恨めしくさえなってくる。

しばらく行けば、左側に海が見えて来て、その素晴らしい景色に驚嘆していたはずだが、私の心は心配で一杯になっていて、何も見えていなかった。

父親と孫は前列の席で何か話している。だいぶ走ったのち、マイクロバスは、各ホテルの前で止まっては、客を下ろして行く。順々に下して、最後に私達だけ3人が残った。私はまた不安になった。 

 

8 コンドミニアム『ハレカイ』

         


ついに目的地に着いた。荷物を下ろし、事務所に入ると、年配の女性が応対に出て来た。この人がオーナーかなと思ったのだが、オーナーでなく雇われている人らしい。彼女がキーを持って来て、玄関を開けて、中に一緒に入った。

中に一歩入ったとたん、私達三人は「うわー、素晴らしい!」と異口同音に歓声を上げた。

             


リビングのガラス戸の向こうには、青い海が広がっていた。テラスには、ガラスのテーブルがあり、そこで海を見ながら食事ができそうだ。彼方の水平線には雲で霞んだ島が見える。         

リビングは広々としていて、ソファもどっしりしていた。ソファの柄は、淡い色で描かれたヤシの葉のイメージで、南の島を感じさせる。部屋部屋には、ふさわしい南洋調の額が掛けられいる。随所に、マウイを象徴する亀の置物や白い貝殻が飾られていた。

せせこましいマンションで生活していた私達には、全てが豪華に感じられた。

私たちの歓声と、喜びの姿を見て、管理人の女性も顔をほころばせて嬉しそうにしている。

私は、いっぺんに、こんな奥深いところのコンドミニアムを契約した娘を非難していた気持ちを吹っ飛ばせ、さすがは娘だなあ、などと考えている。ネットを一杯見てなかなか決められないでいる娘を、この優柔不断な娘め!と決めつけていた気持ちが、称賛に変わった。

           


管理人の仕事は四時までだからと、女性は帰って行った。一番大きな寝室には、ビッグサイズのダブルベッドが置かれている。第二の寝室には、シングルベッドが二つ置かれている。父子はシングルベッド二つの部屋をとり、私はデラックスなダブルベッドの部屋をとった。

ふとテーブルの上を見ると、この部屋のオーナーから、篭に盛ったプレゼントが置かれていた。リボンをとりセロハンを外してみると、コナコーヒーやクッキーやチョコレートが山盛りになっていて、手書きのカードが添えられていた。お洒落なおもてなしに私たちは感激した。

 

9 黄昏行く海

           


私たちのコンドミニアムの外には、飛び石のある芝生があり、その先10メートルぐらいには、海に下りていく階段があった。背丈よりもちょっと高いほどの石積の崖で、階段をトントンと下りていくと、畳三十畳くらいの小さい砂浜がある。そこに波が打ち寄せては引いている。

海は、いつの間にか夕暮れていき、辺りは薄暗くなってきた。

ふと見ると、砂浜に下りる崖に腰かけて、孫がぽつんと海を眺めている。いつの間にか、崖の後姿が二つになって、父子が並んで夕暮れの海を眺めている。

           


 

 


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