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10月, 2022の投稿を表示しています

連載小説 秘められた青春 芙蓉と葵  (2)-2

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               この小説はフィクションです。                            (2)ー2                    日比谷花壇大船フラワーセンターの温室で撮った花 (2022/6/20/写す) (2)-2の登場人物  紺野 芙蓉          東京の大家さん          梶原響子  大学4回生 下宿人 フランス語科          鈴原美鈴  短大2回生 下宿人 英文科  大家さんは、戦争未亡人だった。彼女は敷地内の離れの方に会社勤めの一人息子と住み、広い母屋の方を三人の女子学生に貸していた。芙蓉は、二階二部屋、下一部屋のうちの二階の東向きの部屋を借りた。  芙蓉のほかの二人の住人の内、一人は四年生大学の四回生だった。この人は二階の西側の部屋を借りていた。下の階にいるのは、同じ短大の二回生だった。  芙蓉はまE 短大に入ったのですって。上がって」と言っていきなり部屋に招じ入れられた。  出窓のある洋室にベッドが置かれ、ピンクのフリルのついた小花模様の可愛らしいベッドカバーが掛かっていた。そのそばには、洋風の背の高い電気スタンドがあった。芙蓉は一人掛けのソファーに座り、響子は勉強机の椅子に腰かけた。  部屋には香水の香りが漂い、響子は綺麗に化粧していた。 「私これから出かけるの。夜遅く帰ってくると思うけど、気にしないでね。もう私、3年生のうちにほとんど単位とったので、今年は卒業論文とあと二科目とったらいいの。私フランス語専攻だけど、あなたは何?」 「私は国文です」 「あら、そうなの。折角なら外国語とった方がいろいろ面白いのに」 「はあ」 芙蓉は思ったことをつけつけいう響子に驚き、これが都会というものかと思った。 「これから、あなたにもいろいろお世話になると思うけど、よろしくね」 と言って、コーヒーをサイフォンで入れてくれた。粉のインスタントコーヒーしか家では飲まなかった芙蓉は、これが上流社会というものかと恐縮した。  芙蓉は自分の部屋に帰った。芙蓉の部屋は和室で、布団を敷いて寝ることにしていた。お化粧はまだしたことがなかった。  階下の台所は、三人で共同で使うことになっていた。  芙蓉はご飯を炊くために台所に降りて行った。  すると下の住人が、お鍋を洗っていた。同じ短大の二年生の人だった。 「今度来ました紺野

明日は公民館まつり・コーラスで歌います

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これは今日の私です 今日髪を短くカットし白髪を染めてきました。明日は市の公民館祭り。コーラスで舞台で歌うからです。 10月から仲間に入れてもらって3回目で舞台に立つとは。ちょっと心臓が強すぎる。 歌える歌は「椰子の実」ぐらいです。 歌う曲は5曲 1 椰子の実 2 たんぽぽ 3 星とたんぽぽ 4 大漁 5 逢えてよかったね 以上です。 「星とたんぽぽ」と「大漁」は金子みすゞさんの詩です。 金子みすゞの詩がコーラスになっているなんて知らなかった。 2,3,4,5の4曲は全然歌えません。 ところが私の隣の女性がすごくうまいのです。 その女性について歌っていると歌えるのです。 こんなので出ていいのかなあ、と思いまして先生にたずねましたら、出なさいというお言葉。 私を入れてソプラノ6人アルト7人の割と高齢者が多い女性グループです。 会話の時、少し耳が遠い方も、音を外さず歌っているのです。 きっと、長年コーラスをやっていた方々だと思います。 私はというと、童謡しか歌ってなかった。 こんな難しい曲覚えられるかなあ? 落ちこぼれないように精進しなければ。 明日はブラウスは白、下は黒。 押し入れから引っ張り出してきて、アイロンかけました。 早く寝ないと。 明日は9時20分集合。 もう12時過ぎました。

連載小説 秘められた青春 芙蓉と葵  (2)-1

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この小説はフィクションです (2)ー1    マウイ島の花(2018年撮影) (2)-1 の 登場人物   紺野 芙蓉              杉野先生             芙蓉の母             高橋 葵                                 (2)ー1    芙蓉は秘密を誰にも言えぬまま、受験勉強をした。  柳原君への想いはますますつのっていくが、自分は穢れた身であるから柳原君に想いを打ち明けることなど出来ないと思った。  せめて、柳原君が東大に行くのなら自分も東京に行きたいと、京都の短大をやめて、東京の短大に変えた。  ところが、蓋を開けてみると、柳原君は東大の理 3 をやめて、京大の工学部にはいっていた。芙蓉は今更どうすることもできず、母と上京して女子専門の下宿を決めた。葵は地元の国立大学に入って意気揚々としていた。  芙蓉の母は、担任の杉野先生にお礼に行かなければならない、あなたが大学に入れたのは先生のご指導の賜物なのだからと言った。芙蓉はそんなことはしなくていいと言ったけれど、母は先生に似合いそうなネクタイを買って、有無を言わせず、芙蓉を連れて先生のお宅に伺った。  杉野先生は恐縮しきった様子だった。 「いやいや僕の力というより、芙蓉さんがまじめに勉強されたので、通ったのです」と言って、髪をかき上げた。母の後ろで隠れるように立っている芙蓉をちらっと見た。その時の目は、恐怖におびえている目だった。芙蓉もまた恐怖におびえていた。  葵は葵で、芙蓉が東京に行く前にもう一度先生の所に遊びに行こうよと誘ってきた。芙蓉は断わる理由が立たず、葵の後ろについていく羽目になった。 「紺野も高橋も、志望通りの所に入れてよかったな」 「せんせのおかげです」と葵は目をうるませている。 「紺野は初めての親からの独立、それに東京は気候も違うし健康に気をつけろよ」と先生はあのことはなかったことのように、何の感情も表さないで言った。  芙蓉の方は、なかったことにしようとしても、しきれなかった。あの時の衝撃が、体をさいなんだ。幸いにして、月のものは順調にやってきた。表面上は何にも変わったことはない。けれど、あのことはしっかりと体に刻み込まれていた。もう取り返しがつかない。柳原君に申し訳ない、柳原君に捧げたかったと身勝手な思いとも思わず、夜中にひそ

連載小説 秘められた青春 芙蓉と葵  (1)

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(この小説はすべてフィクションです) 日比谷花壇大船フラワーセンターの温室で撮った花 (2022/6/20/写す) (1)の登場人物 紺野 芙蓉 杉野先生 芙蓉の母 高橋 葵 柳原君 今井君  ⑴  芙蓉は庭の水仙を切って紙にくるみ、ピンクのリボンをかけて、杉野先生のマンションを訪れた。  マンションに杉野先生がいらっしゃるかどうかは、賭けのようなものだった。日曜日、先生は時々田舎の実家のほうに帰られる。芙蓉は胸をどきどきさせながらインターホーンを押した。 「おお、紺野か」という声が聞こえて、先生はガチャっという音を立ててドアを開けた。 「おお、上がれ、上がれ」と杉野先生は芙蓉の手をつかんで、廊下に引き入れた。 先生にじかに手を触れられたのは初めてだった。突然体が熱くなるような、先生に甘えたくなるような気持が予期もしないのに体の底からこみあげてきた。  芙蓉は女らしい科を作って、 「お邪魔します」と顔を赤らめながら言い、勝手知ったリビングルームのソファーに腰かけた。 「先生、今日は今井君たち、来ていないの」 「うん、今日は誰も来ないなあ。ところで、今日は葵は来なかったのかい?」 「ええ、今日は親戚の法事に出かけるらしくて、来れなかったの」 「そうか」と先生は言っていつものように紅茶を入れてくれた。 「せんせ、庭の水仙が綺麗だったので、持ってきたの。いつものバカラに活けていい?」 「おお、いいよ。いつもありがとう」  杉野先生は、レモンティを二つテーブルの上に置いて、芙蓉と向き合って座った。 「紺野は京都 I 短大に決めたのだね。もう心は定まったかい?」 「せんせ、私、東京の E 短大に行きたいと思うようになったのだけど、受かるかしら?」 「えっ、京都やめたの?どうして?」 「どうしてっていうわけでもないけど、東京は世界でも一番の都市だときいて、自分もそんな大都市に身を置きたくなったの」 「そりゃあ、お前の実力があれば、 E 短大なんか軽く受かるよ。でも、親は何て言っているの?」 「父は自分も東京の医科大学に行っていたので、反対はしないの。お母さんは、東京に女の子を一人でやるなんて心配だと言っているけど、卒業したらお婿さんを迎えてずっとこの病院を継いでいかなければならないから、ちょっとの間だけでも自由にさせてやりたいという気があって、強く反対できないらしい。私も卒業し

長く生きすぎたのかなあ?

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日比谷花壇大船フラワーセンターの温室で撮った花 (2022/6/20/写す) 最近朝起きてベッドから立ち上がる時、左膝の具合が悪く、なかなか1歩が踏み出せない。机に手をつきようやく立ち上がり、棚やドアーに手をつきながらかろうじてトイレへ。トイレには前の住人がつけていた手すりがある。それを握ってようやく、ということになる。 一年前に整形外科に行った時、左ひざにまだ擦り減ってはいるが軟骨があったので手術はすすめられなかった。 ところが今度は、引っ越したので別の整形外科で診てもらったら、左ひざの内側の軟骨が全くなくなっているので、手術して治すより方法がないといわれた。 私「麻酔から目が覚めたらぼけているということはないかしら」 医師「そんなことはないと思う。82歳の女性でも手術してもう4年になるが元気に歩いている」 私「手術の費用は、高いんでしょう」 医師「健康保険には最高でいくらという限度額があるから、手術そのものがいくら高くても、限度額でいける」 入院期間を聞くのは忘れたが、帰ってから高校時代の同級生に聞くと、2,3か月かかるとか。 費用は食事代とかおむつ代とか洗濯代とか加算されるから、10万円は最低でもかかるらしい。 入院期間といい、費用といい、今それだけの余裕が全然ない。 それに生まれてこの方、お産以外に入院したことがないので、手術なんて怖くて。 同級生が、骨がボロボロになって、手術で出来なくなったら困るよ、と。 また、歩くのが痛くて家でばかりいるようになると、ますます歩けなくなるよ、と。 意地を張って外を歩いた。 左ひざの内側をねじらないように、まっすぐ足を上げて歩いた。 昨日は、図書館までバスに乗ったりして往復3300歩歩いていた。 余り痛くなかった。その代わり、カートを押したり引いたりしてゆっくりゆっくりである。 転ばぬ先の杖、的な生き方をしてこなかったので、今本当にいろいろな面でしわ寄せがきている。 神や仏に祈りをささげても来なかった。 しかし今、どうかどうか今日も無事で明日も無事でと、何に向かってとは言い難いけど、何かしら手を合わせる夜もあり朝もある。  

木星に魅入られて

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日比谷花壇大船フラワーセンターの温室で撮った花 藤沢に越してきて1年。84歳で家に引きこもっていてはボケる一方だと思い、公民館でいろいろやっているサークルに入れてもらいました。 そこで知り合ったお仲間に、目下木星に魅入られている方がいらして、天文に疎く関心も薄い私も、夜空に木星を探したりしました。木星は今ひときわ強い光で輝いている星。 近視、乱視、白内障気味の私にも、見えました。 東の空から出て、一晩のうちに西へと移動していく明るい星です。 今木星がよく見えるよと、木星の存在を教えてくれたサークルの友は、どんなに長年星を研究しているのかと思えば、なんとその方はほんの2か月前から興味を持ったのですって。毎日パソコンで国土天文台の「今日の星空」と、「東京星空カレンダー」を チェックして楽しんでいるだけなんですって。 その人はお金持ちなのかな。望遠鏡を買ったんですって。10倍とか言っていたように思う。すると男性が一人いて、10倍で見えるか?とか疑問を出している。 こちらは、地上のことのみにあくせくして80余年を過ごしていたので、そんな話はちんぷんかんぷん。目も乱視があるので、いろんな方がなんちゃらかんちゃら満月だよと教えてくださっても、自分が見れば悲しいかな、満月が二重にずれている。 またまた木星のそばに日光の湯元で土星も見えたという仲間もいまして、 このところ木星の話で盛り上がっています。 今の木星は2月ごろまで見えると教えてくれました。 天文に何の興味もなかった人間が、星に祈りを、と、思うようになりました。  

コロナ自粛明け・茅ケ崎の花火

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マウイ島に咲いていた花 昨夜の遠花火の写真が写せなくて残念  昨夜(2022年10月22日・土曜)2階のベランダの洗濯物を取り入れているとき、ドーンドーンという音がするのでその方向を見ると、見通しの良い遥か彼方の空できれいな花火が上がっていた。うちは藤沢市だが、方角からすると隣の市茅ケ崎市の海岸で打ち上げ花火をしているらしい。ネットで調べてみると、サザンビーチでやっていた。サザンオールスターズの曲までが風に乗って聞こえてきた。 コロナ自粛!自粛!で、何年も花火大会がなかった。ようやく、と、嬉しい。手すりにもたれて、花火が終わるまで小一時間見ていた。 藤沢市も11月に江の島の海岸で花火を打ち上げるというニュースだが、「蜜」回避のために1日分を4日に分けてするとか。 友人の言うことには、年寄りは見に行く必要はないよ。ものの3分か5分で終わるからね、と。 それに比べると、昨夜の茅ケ崎の花火は遠目にも圧巻だった。茅ケ崎市の懐の大きさを感じた。

日テレ ドラマ 『ファーストペンギン』

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  昨夜日テレのドラマ『ファーストペンギン』の第2話を見ました。 このドラマ、第1話を見た時から大変面白いと思っていました。漁業を職業とする男たちや漁業組合のことなど、背景はおよそ華やかさのない舞台です。 綺麗なおべべを着て、都会的なマンションで繰り広げられる、スマートな男女が織り成すW不倫のドラマなどが好きな年寄りばあちゃんの私なのに、殺風景な漁港と雑然とした事務所などが中心のこのドラマに面白さを感じたのです。 昨夜第2話を見ているうちに、いや第1話の時からこれは事実を基にした話でないかと感じたのでした。 それで、ググってみるとやっぱり実話を基にしたドラマでした。堀内知佳さんという方が書いた『ファーストペンギン=シングルマザーと漁師たちが挑んだ船団丸の軌跡=』という本が売られているサイトに行き着きました。 それで、堀内知佳さんのことをウイキペディアで読むと、女優にも匹敵するような美しい30代の女性が現れたのです。 びっくりしました。 旧態依然の漁業組合に挑戦し新しい販売形態を作り上げ、成功し、今では会社を立ち上げ社長になっています。 ドラマでは面白おかしく喜劇風に仕立てていてます。しかし実際の行動は強い意志がなければ成功するものではありません。 私から半世紀後に生まれた女性。 時代に女性進出を認めようとする動きがあったとしても、誰もががちがち古い体制の漁業組合に切り込んで物流組織を変えることは出来なかったでしょう。 堀内知佳という女性の強い意志を感じます。 ヒロイン役の、奈緒、またその子供の役の子役が可愛い。悪役の組合長を演じる梅沢富美男も我らの世代では、親しい存在。TBSの「プレバト」では、梅沢が出るのと出ないのとでは面白さが100倍も違う。おばあちゃんのアイドル梅沢が出ているのもよい。 というわけで第3話も楽しく見ることにしましょう。 注 ファーストペンギンという言葉の意味を第一話で映像を見せつつ解説していました。 私はこの年にしてはじめて知りました。 意味を知らない方、知りたい方は調べてみてください。

84歳ばあちゃんが昼にカレーを作った(2022年10 月11日)

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孫はリモートで仕事。12時半の孫の昼休みに合わせてカレーを作った。おばあちゃんなりに腕によりをかけて。市販のバーモンドカレーの固形のルーを使うのだから、そう難しくはない。けど、同じルーを使って説明通りに作っても、人によっておいしかったりおいしくなくはないがフツーというようなものができるのが不思議。 私の場合はフツーかそれ以下になる。でもまあ文句を言わずに食べてくれた。 起きて、トーストとコーヒーで朝食を済ませ、自分のものだけの洗濯をして、ご飯を炊いてカレーを作っただけで、もう11時半になっていた。 秋晴れや ガラスに映える カレー皿 紅葉散る 床几で食す カレーかな 海軍の セーラー服や 夏カレー 父と子が 並んで食べる カツカレー